焚き火を囲んで座ったところで、カードを配る場所がありません。輪の中心は火で、膝の上は安定せず、手元は暗い。屋外の夜に持っていった遊びが続かないのは、たいてい遊びの中身ではなく置き場のほうです。
この記事は、その置き場の問題を回避する遊び方をまとめたものです。例に挙げるのは僕が作っているサイト「まわして」のゲームで、どれも 3〜8 人用。自分で作っているぶん、どの画面で誰が何を触るかまで実装ベースで書きます。
焚き火を囲んだまま始められる4本
先に結論を置きます。屋外の夜に強いのは、遊んでいる時間の大半、スマホを触らずに済むゲームです。手番のたびに文字を打ったり線を引いたりする形式は、暗さと汚れた手に弱い。逆に、画面を真ん中に置いたまま声で進む形式なら、輪がどれだけ大きくても成立します。
基準を先に決めます。端末がまわるのが投票の一周だけか、まったくまわらないこと。この条件で 13 本を全部あたると、残るのは次の 4 本でした。
- 知ったかリレー — お題は架空のものなので誰も正解を知りません。スマホを真ん中に置いたまま、1 人ずつ 10〜30 秒 (設定で変えられます) で知っている風に語ります
- 知ったかグルメ — 同じ形式で、お題が架空の料理になったもの。肉を焼いている隣で食べものの話をすることになるので、この夜にはいちばん噛み合います
- くるしいわけ — やらかし状況と必須ワード 3 つが全員に見えるので、こちらも置いたまま。15〜30 秒で言い訳を演説します
- だれだっけ — 文字入力はゼロ。前半は 1 つの質問に全員が順番に声で答えるだけで、タップは質問を送るときの 1 回だけです
正確に書いておきます。4 本とも端末がまったく動かないわけではありません。 知ったかリレー・知ったかグルメ・くるしいわけは、ラウンドの終わりに全員で秘密投票をするので、そこで 1 周まわります。既定は 3 ラウンドなので、6 人なら 1 ゲームで 3 周、のべ 18 回の手渡しです。だれだっけだけは投票そのものがなく、端末はまわりません。
それでも屋外向きなのは、まわるのがその一周だけだからです。語っている時間 — つまり大半 — は端末が真ん中に置かれたままで、暗さも汚れた手も関係ありません。焚き火の輪は 6 人だと輻射熱のぶん直径 2 メートルを超えますが、声は届きます。画面をのぞきに行く必要がないので、輪の大きさが問題になりません。
人数が 8 人を超えたら、輪を割らずにスマホを増やしてください。焚き火は 1 つしかないので、20 人なら火のまわりを 6〜7 人ずつ 3 か所に分けて、それぞれに 1 台。同じゲームでも別のゲームでもかまいません。声が混ざりますが、この 4 本はどれも自分の卓の話を聞いていれば進みます。
その日の流れに合わせて並べる
BBQ の夜は、途中で場の条件が入れ替わります。焼いている間は立っていて、トングと紙皿で手がふさがっていて、人が肉と飲み物の間を行き来します。食べ終わって焚き火に移ると、全員が座って手が空く代わりに、暗くなります。要求が正反対なので、同じゲームを通しで使おうとすると必ずどこかで詰まります。
- 焼いている間声だけの1本を、抜けても崩れない形でここは無理にやらないのがいちばんです。焼き場のまわりと離れて飲んでいる組に人が散るので、声が全員に届きません。やるなら焼き場から離れた組だけで、焼き係が戻ったら次のラウンドから入ってもらう形に。
- 食べ終わり座って手が空いたら、当てっこ系へだれだっけの前半はここに置くと効きます。食べながら全員が声で答えるだけなので、皿を持ったままでも参加できます。
- 焚き火暗くなったら、輝度を落として語る形式へ明るい画面を見た本人の目がいちばん戻らなくなり、のぞき込んだ周りも巻き添えを食います。暗さに目が慣れるには20分以上かかるので、最低輝度まで落としてください。屋外ならそれで十分読めます。
なぜ屋外だとカードゲームは終わるのか
「持っていったけど結局出さなかった」も「出したけど 5 分で終わった」も、原因は 5 つです。面白いのは、まったく同じ条件が片方にだけ効いていることでした。
| 屋外の条件 | 紙のボードゲーム | 1台を置いてまわす形式 |
|---|---|---|
| 夜露 | 紙のボードゲーム一晩で波打つ。重しをかけて乾かしても元どおりにはならない | 1台を置いてまわす形式影響なし |
| 焼肉の脂 | 紙のボードゲームあの手で配れば、その1組は以後ずっとBBQ専用 | 1台を置いてまわす形式1個を拭けば済む |
| 暗さ | 紙のボードゲーム外から明かりを当てる必要がある | 1台を置いてまわす形式画面が自分で光る |
| 風 | 紙のボードゲーム手札が飛ぶ。積み木を積むタイプは風が余計な一手を打つ | 1台を置いてまわす形式飛ばない |
| 部品の紛失 | 紙のボードゲーム暗い中で落とすと翌朝出てこない。専用のコマなら1個で詰む | 1台を置いてまわす形式落とす物が1個しかない |
| 置き場 | 紙のボードゲーム全員が手を伸ばせる平面が要る | 1台を置いてまわす形式手だけあればいい |
ただし最後の行は裏面があります。落とす物が 1 個しかないぶん、その 1 個に全員の遊びが乗っています。暗くて手が脂で滑る場所で、投票のたびに手渡しが起きる。渡すときは相手の手に載せようとせず、いったん置いてから取ってもらうほうが安全です。置き先は膝かクーラーボックスの蓋に。夜露のおりた地面や芝は最後の手段です。
とくに効くのが置き場の行です。テーブルは持ってきているはずですが、焚き火の輪になった時点で輪の外に追いやられます。中心が火なので、全員が手を伸ばせる共有の平面が輪の中にない。ボードゲームにとってはこれが最悪の形です。ところが端末を 1 台まわす形式にとっては、輪になっていること自体が最良の配置になります。隣に渡していけば一周するので、卓を作る必要がありません。
裏返すと、屋外に持ち出してよい道具の条件が出てきます。濡れても拭けて、部品が細かくなくて、平らな面が要らないもの。この 3 つを全部満たす市販のボードゲームは、ほとんどありません。
焚き火の前でスマホを出すのはどうなのか
キャンプで画面を見るなという空気は実在します。ただ、この形式に限ってはひとつ反論があります。
各自が自分の画面を見ている状態と、1 台を手番の人だけが見て他の全員は声で参加している状態は、別のものです。 後者は全員が同じ 1 個に向かっているので、焚き火を見る時間と競合しにくい。実際、上に挙げた 4 本で画面を見るのは手番の人だけで、残りの人がやっているのは聞くことと話すことです。端末は、お題を配る紙の代わりをしているだけです。
気になるなら、順番が来た人だけが画面を見て、あとは伏せて置いておく形にしてください。それで成立するように作ってあります。置く場所は輪の中心を避けて、手前に。中心は火です。
ただし脂だけは、カードと同じようにスマホにも付きます。投票のある 3 本は端末が全員にまわるので、そのままだと焼肉の手が全員ぶん画面を触ります。ウェットティッシュを 1 枚まわしてから投票に入るか、投票のあいだだけ袋に入れたまま操作してください。拭けば済むのがカードとの違いですが、拭くタイミングは決めておいたほうが早いです。
手がいちばん汚れている時間帯なら、だれだっけを選ぶのがいちばん簡単です。投票がないので端末がまわらず、後半の当てっこも 1 人が操作を引き受ける形になります。手の乾いている人にスマホ係を頼めば、それで済みます。
圏外でも動くか
動きます。まわしてのゲームは、いちど画面まで進めてしまえば、そのあと通信を必要としません。ただし電波のあるうちに開いておくという準備が要ります。山のキャンプ場に着いてからでは間に合わないので、出発前に 3 つだけ。
- 使う予定のゲームを、タブで全部開く
- それぞれ「あそぶ」から人数を決める画面まで進める
- その場で機内モードにして、1 分だけ動くか試す
3 つ目を飛ばさないでください。保存に失敗しても画面には何も出ないので、確かめる以外に知る方法がありません (詳しい手順は末尾にリンクした夜の記事にあります)。
1 台に全員が乗る形式なので、その 1 台の電池が切れると終わります。まわすのは幹事以外の端末にしてください。幹事の端末は朝から写真と地図と連絡で働いていて、夜にはいちばん残量がありません。それでも足りないなら、充電を足せるものを 1 個持っていくことになります。
それでも道具を持っていくなら
ここまでの条件 (濡れても拭ける・部品が細かくない・平らな面が要らない) で絞ると、残るのはボードゲームではなく日用品です。正直に書くと、上の 4 本で足りるなら何も買う必要はありません。
買う理由は 2 通りに分かれます。
ひとつは電池。この記事のやり方は 1 台に全員を乗せるので、その 1 台が落ちたら遊びごと終わります。記事の主張から直接出てくるのはこれだけです。
もうひとつは、それでも道具を出したい日のため。ただしこちらは、条件を全部は満たせないことを先に書いておきます。平らな面が要る問題は解けません。焚き火の輪では使えず、出番はテーブルのある区画サイトか、焼き場の卓が空いたときです。トランプは湿気と汚れを材質で外しますが、風と熱には勝てません。ランタンはそのトランプの手札に落ちる影を消すためのもので、スマホ 1 台で遊ぶなら要りません。
電池と、テーブルがある日の道具
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Anker Zolo Power Bank 10000mAh
Anker
- 1台のスマホに全員が乗る日に
10000mAh・約229gで、USB-Cケーブルが本体に内蔵されたモバイルバッテリー。内蔵ケーブルは折り曲げ約1万回に耐える設計 (Anker調べ) で、取り出して挿すだけ——暗い場所でポーチからケーブルを探す工程がない。回ってきたスマホの充電が残り少なくなっても、その場で足せる。
プラスチックトランプ ナップ
任天堂
- 濡れても拭ける
紙ではなくプラスチックでできたトランプ。夜露を吸って波打つことがなく、脂のついた手で触っても拭ける。大富豪もダウトも暗い場所でルールを説明せずに始められるのが、屋外では効く。ただし軽い札であることは変わらないので風のある日は飛ぶし、樹脂なので熱には紙より弱い。焚き火やコンロのそばに置くと反る。紙のカードが屋外で死ぬ理由のうち、湿気と汚れだけを材質で外した1組。
LEDランタン EX-334D
ジェントス
- 吊るすと影が消える
焚き火は下から照らすので、顔にも手札にも影が出る。カバーを外して逆さに吊るすと、その影が消える。IP64の耐塵・防滴なので、夜露のおりたテーブルに置いたままにできて、単3形電池4本で弱なら78時間もつ。スマホ1台で遊ぶなら、光は要らない。
まとめ: 屋外では、置き場が要らないほうが勝つ
屋外の夜の遊びは、何を持っていくかより置き場があるかどうかで決まります。焚き火の輪には平面がないので、平面を必要とする道具はそこで落ちます。残るのは、手だけで成立する遊びです。
まわしてなら、端末がまわるのが投票の一周だけの知ったかリレー・知ったかグルメ・くるしいわけと、まったくまわらないだれだっけ。準備は出発前に画面まで開いておくことだけです。
同じ旅の車内はバスレクの組み立て方に、宿に着いてからの夜は修学旅行・合宿の夜の遊び方にまとめてあります。
火を囲んだまま、手ぶらで始められます。