アイスブレイクで場が一番冷えるのは、ゲームが滑ったときではありません。「じゃあ一人ずつ、面白い自己紹介をお願いします」——笑いか自己開示を強要された瞬間です。この記事では、新歓・研修・初めての顔合わせ向けに、その事故が起きにくいゲームとお題デッキの選び方を、僕が作っているパーティーゲームサイト「まわして」のゲームを例に、何を要求しないかを軸にまとめます。
必要なのはスマホ 1 台だけ。無料・登録なし・インストール不要で、URL を開けばその場で始まります。少人数なら 1 卓 3〜8 人、それを超えるなら 4〜6 人ずつに割ってテーブルの数だけスマホを使います (10 人の新歓なら 5 人 × 2 卓・スマホ 2 台)。
順番がすべて: 「答えるだけ」から始めて「演じる」は最後
初対面の場は、いきなり盛り上げようとすると失敗します。要求レベルの低いゲームから順に上げていくのが基本形です。
- はじめせーのドン (答えるだけ)4択をタップするだけ。声を出す必要すらない
- 10分後だれだっけ (一言答える)質問に答える + 相手の答えを覚える。名前と人となりが入ってくる
- 20分後めもりあわせ (一言で伝える)協力ゲーム。感覚のすり合わせがそのまま会話になる
- 温まったらきもちバレ (演じる)一芝居。ここまで来れば恥ずかしさより楽しさが勝つ
持ち時間別の目安はこうです。15 分ならせーのドン 1 本 (約 8〜10 分) + 残りは雑談。30 分なら最初の 2 本。それ以上あっても全部やる必要はなく、場が温まった時点でやめて雑談に移るのが一番きれいな出口です。アイスブレイクはゲームを完走する場ではありません。
最初の 1 本は「誰も評価しない 4 択」
口火を切る 1 本にはせーのドンを置きます。「キャンプの設営でやりたい担当は?」のような 4 択に、全員が自分の答えと「みんなの最多」の予想を出して、せーので開票するゲームです。
初対面向きな理由は 2 つ。まず、お題が全問「自分ならどうする」を聞く形で、「この中で一番〇〇そうな人は?」のようにその場の誰かを指させる問いが 1 問も入っていません (これは全デッキの全お題をそう作ってあります)。指された人が傷つく型の事故が、お題の側から起きない。次に、1 人がやるのは 4 択を 2 回タップするだけで、気の利いた発言をする必要すらないこと。開票で答えがそろったか割れたかを見るだけで、「え、多数派そっち?」と会話が起きます。
デッキは 4 種類あり、研修のような大人の場なら「くらしのえらび」か「やくわりえらび」(冒頭の例はここのお題です) を選んでください。「がっこうのえらび」は席替えや給食当番など学校の場面専用なので、教室以外では外します。
せーのドン紹介ページへ →みんなの答えを、当てにいく。3〜8人6人で約15分スマホ1台名前を覚えるなら「だれだっけ」が仕組みごと解決する
アイスブレイクの実務的なゴールは、名前と顔を一致させることです。だれだっけは、それをゲームの勝利条件にしてしまいます。
前半は「とつぜんですが、突然世界中の音が消えたら一番困ることは?」のような質問に全員が声で答えるだけ (入力はいりません)。後半で「あの人、なんて答えたっけ?」のクイズに変わり、当てるには相手の名前と答えをセットで覚えるしかないので、「変な答えをした誰々さん」という形で名前が記憶に引っかかります。1 ゲーム約 10 分。採点は思い出せた人に加点が入るだけで、答えた側には得点が発生しない (覚えてもらえなかったことがスコアに一切出ない) 設計なのも初対面向きです。

ひとつだけデッキの注意があります。初対面では「とつぜんですが」「みらいのはなし」の 2 デッキを選んでください。「こどものころ」「マイルール」は本人の過去や生活のクセを答えるお題なので、答えがそのまま自己開示になります。仲を深めたい 2 回目以降の集まりでは、逆にそこが持ち味になります。
だれだっけ紹介ページへ →あの人、なんて答えたっけ?3〜8人6人で約10分スマホ1台会話が続かない不安には「協力ゲーム」を挟む
初対面の沈黙が怖いのは、話題を自分で用意しないといけないからです。めもりあわせは、話題の生成をゲームが引き受けます。
「ひえひえ↔あつあつ」のような目盛りの位置をヒント役だけが見て、「たこやき」のような一言で全員に伝える協力ゲームです (1 ゲーム約 10〜15 分)。開票のたびに「なんでそこだと思ったの?」が自然に始まって、その理由の説明がそのまま自己紹介の代わりになる。当てる位置は毎回ランダムに決まる (誰かの本音や好みを当てる形ではない) ので、探られる怖さがなく、対戦でもないので勝ち負けの気まずさも残りません。
めもりあわせ紹介ページへ →その「なんとなく」を、合わせにいく。3〜8人6人で約20分スマホ1台場が温まってからの 1 本: 決まったセリフなら演じられる
きもちバレは初対面の序盤に置くと重いゲームです。「その皿と、目が合った気がする」のような決まったセリフに、指定された「きもち」を込めて演じ、全員で当てる——つまり一芝居が要ります。だから順番の最後、場が温まってからが出番です。
それでも初対面の候補に入れているのは、セリフときもちの両方をゲームが指定するからです。自分で面白いことを考える場面がなく、演じるのは標準 15 秒だけ。自己紹介で一発ギャグを求めるより、はるかに低いハードルで「あの人あんな顔するんだ」が共有されます。
きもちバレ紹介ページへ →その一言に、きもちを込めて。3〜8人6人で約30分スマホ1台新歓の 30 人はどう分ける?
新歓や研修の全体会のような大人数では、4〜6 人の卓に割って、卓の数だけスマホを使います (30 人なら 5 人 × 6 卓。卓分けの詳しい設計は卓分けの記事に)。ゲームの上限は 8 人ですが、初対面では 1 周が短いほうがだれません。進行はゲームが持つので、幹事が各卓を回って仕切る必要はなく、卓ごとに違うゲームでも成立します。途中で卓のメンバーを組み替えると、「話したことがある人」が全体に増えていきます。
主催者がやりがちな 2 つのこと
新歓の先輩でも研修の進行役でも、場を用意した側が善意でやってしまい、逆効果になりやすいことが 2 つあります。
- 仕切りすぎる。ゲームの進行はスマホが持つので、主催者が回す必要はありません。新歓なら、先輩が輪の外からツッコミ役に回るほうが、新入生は先輩の顔色をうかがわずに答えられます。研修の進行役も同じです
- 終わったあとに感想の共有を求める。「では各グループ、学びを一言」を挟むと、せっかくくだけた空気が発表モードに戻ってしまいます。リフレクションが必須の研修設計でなければ、温まった空気のまま本題に入るのがおすすめです
なお研修のような公式の場で気になる点として、このサイトはゲーム進行中の画面に広告を出さない方針で作っています (広告が出るのは開始前の設定画面と最終結果のあとだけ)。スクリーンに映して使う場面でも、進行中に広告が挟まることはありません。
まとめ: 要求しないゲームとデッキから順に
初対面の場づくりは、「盛り上げる」より「要求しない」が先です。タップだけのせーのドンで口火を切り、だれだっけ (デッキは「とつぜんですが」「みらいのはなし」) で名前を覚え、温まったらめもりあわせやきもちバレへ。笑いの才能に頼らない作りなので、無理に盛り上げにいって滑る、という一番ありがちな失敗が構造的に起きにくくなります。次の顔合わせの最初の 10 分、自己紹介の代わりに 1 本どうぞ。