くるしいわけは、「家族全員分のアイスを一人で食べきった」のようなやらかし状況に、観覧車・ストロー・ぬいぐるみのような無関係な必須ワード 3 つを織り込みながら、20 秒で言い訳を演説するゲームです (僕が作っています。無料・1 卓 3〜8 人・登録なし)。この記事は、その 20 秒で何をどの順番で言えばいいかの組み立てガイドです。
先にいちばん大事な事実をひとつ——このゲームの投票は「いちばん面白かった言い訳」ではなく、「いちばん許せた言い訳」に入ります。笑わせにいくより、許されにいく。組み立てはぜんぶそこから逆算できます。
20 秒の組み立ては 3 ステップ
①非を認める一文で始める → ②3 語を「事情」に変える → ③言い切って終わる、が僕のおすすめの型です。20 秒はだいたい 3〜6 文ぶんしかありません。
①をおすすめするのは、投票基準が「許せた」だからです。「やってません」から入る完全否認は、どれだけ上手でも許しから遠い。「食べました。でも聞いてください」と最初に認めてしまうと、残り 15 秒がぜんぶ「情状酌量の主張」になり、聞き手が許しやすくなります。②で 3 語を事情に組み込み (次の節)、③は「——という事情です。以上!」でも「だから僕は悪くない!」でも、言い切って終わること。尻すぼみの「……みたいな?」は、内容が良くても誠意が薄く聞こえます。時間配分の目安は、認める 1 文・事情 2〜4 文・締め 1 文。覚えるのはこの 3 ステップだけで足ります。
余裕が出てきたら上級テクをひとつ——3 語のうちいちばんこじつけにくい語から先に片づけると、残りが楽になります (実演の例なら、いちばん遠い「観覧車」を最初に理由へ据えています)。
実演してみます。状況「家族全員分のアイスを一人で食べきった」、必須ワードは観覧車・ストロー・ぬいぐるみ。
食べたのは僕です。でも聞いてほしい。あの日、観覧車に乗る約束が雨で流れて、僕はぬいぐるみを抱えて落ち込んでいました。気づいたら手元にストローがあって、溶けかけのアイスが吸えてしまった。そこからは……体が勝手に。以上です!
そして、うまく言えなかった版も実演しておきます。同じお題で——
えっと……食べました。観覧車が、その、中止になって。ストローは……手元にあって。ぬいぐるみも、いました。……以上です。
これでも成立します。3 語を必死に並べただけの弁明——むしろこの必死さが「くるしい」の本体で、紹介ページの FAQ にも書いたとおり、これはうまい言い訳よりくるしい言い訳のほうがウケるゲームです。「えーっと、バケツというのはですね…」と詰まっている時点で笑いになります。
3 語はどこに置く? 置き場所は 2 つ
「ともだち」デッキの語りのヒントに、このゲームの核心がそのまま書いてあります——必須ワードを事件の「証拠品」か「やむを得なかった理由」に無理やりねじ込む。3 語の置き場所は、実質この 2 スロットです。
- 証拠品: その場に「あった」ことにする。「気づいたら手元にストローが」「現場にはビー玉が散らばっていて」——物体系のワード (温度計・分度器・輪ゴム) はこちらが楽です
- やむを得なかった理由: そのせいで「そうするしかなかった」ことにする。「観覧車の約束が流れて心が弱っていた」「カブトムシが逃げて追いかけるうちに」——出来事や生き物のワードはこちら
もうひとつ、地味に効く実務上の注意があります。3 語を使ったかどうかの判定は、機械ではなくまわりの人の耳です (画面は「いまの 3 語使った?」のチェックを促すだけ)。せっかく織り込んでも、早口に埋もれて聞き取られなければ認めてもらえません。ワードはそこだけ少しゆっくり、はっきり言う——「観覧車、に乗るはずだったんです」と、自分で強調してしまうのが確実です。ちなみに 3 語はシャッフルした列から順に 3 語ずつ配られる作りで、同じ語が続きにくくなっています。
くるしいわけ紹介ページへ →くるしいほど、笑える。3〜8人6人で約15分スマホ1台相手がだれかで、言い訳は変わる
デッキを選ぶと「誰に言い訳するか」が決まり、画面の語りのヒントに口調まで書いてあります。同じ 3 ステップでも、着せる衣装がぜんぶ違う。
| デッキ | 言い訳の相手 | 口調 (画面のヒントより) |
|---|---|---|
| おうち | 言い訳の相手家族 | 口調 (画面のヒントより)言い訳グセはバレている。開き直りでも涙目の熱弁でも素のまま |
| ともだち | 言い訳の相手ともだち | 口調 (画面のヒントより)かしこまらず、いつもの軽い調子で開き直る |
| バイトさき | 言い訳の相手店長 | 口調 (画面のヒントより)敬語を保ちつつ動揺を隠して、次々こじつける |
| でんせつ | 言い訳の相手王さま | 口調 (画面のヒントより)震える家臣の、大げさでへりくだった演説口調 |
初めての卓には「ともだち」か「おうち」、演技に振りたい卓には「でんせつ」(「竜退治の約束をうっかり忘れていた」を王さまに釈明する茶番劇です) がおすすめ。ひとつだけ注意——「おうち」は門限やお小遣いのような家庭の内側のやらかしでできているので、上司や先輩が同席する卓では素のままの開き直りがやりにくい。役職差のある席でいちばん安全なのは、全員が「王さまに釈明する家臣」という架空の役をかぶれる「でんせつ」です (デッキの選び方大全でも同じ結論にしています。なお「バイトさき」は店長への言い訳という設定がバイト経験を前提にするので、経験者の混ざる卓向けです)。
詰まりそうなときの装備は 3 つある
まず「パスする」ボタン。どうしても出てこないときは次の人に回せます。パスにペナルティの演出はないので、進行役は最初に「無理そうならパスでいいよ」と言っておくと、話すのが苦手な人も安心して座れます。次に持ち時間の調整。標準 20 秒、15〜30 秒で変えられるので、初めての卓は 30 秒に伸ばして、慣れてきたら 20 秒に戻すとテンポが締まります。最後に、覚えることを減らす装備——演説中の画面には、やらかし状況と必須ワード 3 つが出たままなので、3 語を暗記してから話す必要はありません。詰まったらワードを画面で見ればいい。ただし口調の語りのヒントが出るのは演説前のお題確認の画面だけなので、どの衣装で行くかは「言い訳スタート」を押す前に決めておいてください。
聞く側にもコツがある
このゲーム、演説していない時間のほうが長いので、聞く側の動きも書いておきます。仕事は 2 つ。ひとつは「いまの 3 語使った?」のチェックで、判定はみんなの耳に任されています。「温度計、言ってなくない?」「言った! 『気温を測ったら』って言った!」「それ温度計って言ってない」——このやりとり自体がゲームのいちばんおいしい時間なので、怪しかったら遠慮なく声に出してください。もうひとつは、投票基準を「許せたか」に保つこと。演技のうまさに引っ張られそうになったら、「自分がこの言い訳をされた側だったら許すか?」に立ち返る。詰まりながらの必死の弁明に票が入るのは、このゲームの正しい姿です。
まとめ: 許されにいく 20 秒
認めて、3 語を証拠品か理由に変えて、言い切る。判定はまわりの耳なのでワードははっきりと。相手 (デッキ) に合わせて衣装を替えて、詰まったらパス。語り系ゲームの話の組み立ては知ったかぶりの語り方の記事と地続きなので、語りのゲームが好きになったらそちらもどうぞ。卓に初めての人がいるときの説明は1 分台本集にくるしいわけの台本があります。それでは、良い言い逃れを。