僕はスマホ 1 台を手渡しで回して遊ぶ mawashite.com というサイトを作っていて、13 本のゲームが全部その形式です。そのうえで正直に書くと、二次会と家飲みは、この形式がいちばん有利にならない場です。強みが強みとして効かない条件が 3 つそろってしまう。この記事は、その 3 条件を分解して、箱を出すかスマホで済ませるかの線引きを引きます。
二次会でスマホ 1 台が弱くなる 3 条件
| 条件 | なぜ弱くなるか |
|---|---|
| テーブルがある | 「道具が要らない」は道具を置けない場でこそ効く長所で、卓があると差が消える |
| 人が抜ける・戻る | 人数をゲーム開始時に固定する作りなので、途中で抜けた穴がそのまま残る |
| 終電まで数時間ある | 6 人なら 1 本 10〜30 分の設計で、長く遊ぶには何度も選び直すことになる |
3 つとも、居酒屋の本会や移動中には当てはまりません。だから同じ「飲み会」でも、一次会と二次会で答えが変わります。
先に身も蓋もない話をひとつ。家飲みなら、まず家主に聞いてください。買って持っていくより、その家にすでにある箱のほうが早いことが多いはずです。以下は、聞いた結果 0 本だったとき、あるいは自分の家でやるときの話です。
もうひとつ、二次会と家飲みでは選べる箱が同じではありません。物理的な 3 条件は共通でも、卓の顔ぶれが違うからです。家飲みは気心の知れた相手なので制約がほぼありませんが、職場の二次会は上司や初対面が混ざるぶん、題材や言葉づかいで外れる箱が出てきます。
テーブルがあるなら、置く遊びのほうが強い
手渡し形式のいちばんの長所は、卓もカードもコマも要らないことです。立ったままでも、バスの座席でも成立する。裏を返すと、テーブルがある部屋では、その長所が 1 つも換金されません。
そこでしか成立しない遊びのほうが、卓の上では強い。伏せて置く、積む、めくる——この 3 つはスマホ 1 台には移せない動作です。画面を手渡す形式では「伏せたものが場に残り続ける」状態が作れないからで、これは実装の都合ではなく、1 台しかない画面が常に誰か 1 人のものになるという構造の話です。
以下で挙げる箱に値段は書いていません。変わるものなので、リンク先で確かめてください。人数と所要時間は動かないので、そちらはカードに出しています。卓を 2 つに割る会なら、箱も 2 つ要ります。
卓の上にしか置けない遊び
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スカル 2023年新版 日本語版
ホビージャパン
- 3〜6人
- 約30分
- テーブルが要る
花3枚とドクロ1枚のコースターを持ち、1枚ずつ裏向きに場へ積む。積むのをやめた人から「何枚めくれるか」の宣言合戦になり、勝った人はまず自分の山を全部めくり、足りないぶんを他人の山から上へ順にめくる。花だけで宣言ぶん届けば成功、ドクロを引けばコースターを1枚失う。2回成功で勝ち (ほかが全員脱落しても)。伏せる・積む・めくるが全部卓の上で起きるので、スマホでは代わりが利かない。
人数が動く卓では、抜けた穴の扱いが分かれる
二次会でいちばん起きるのは、人数が動くことです。タバコ、電話、会計、後から合流。うちのゲームはどれも最初に人数を決めてから始めるので、1 人抜けるとその席は空いたまま、3 人で始めて 1 人抜ければ残り 2 人では続けられません。途中参加の口も用意していません。箱の多くは手番が飛ぶだけで進むので、ここは箱のほうが素直です。
ただし正直に書くと、離席そのものはどちらでも解けません。手番制である以上、いない人の番は飛ぶだけです。差がつくのはその手前で、席にいるのに今回は勝負しない人をどう扱うか。降りる選択のある箱では、降りた人が「見ているだけ」になるかどうかが設計で決まります。
職場の卓に出すなら、ひとつ先回りしておきます。この手のゲームは「賭ける」という言い方をしますが、賭けるのは箱に入っているコマで、現金は動きません。言葉だけで身構える人がいる席では、出す前に一言そえてください。
降りた人が退屈しない箱
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小早川 新版
オインクゲームズ
- 3〜8人
- 約20分
- 降りても卓に残れる
手札は1〜15のうち1枚。手番は、山札の1枚と手札を取り替えるか、その1枚を場の「小早川」カードに重ねて数字を変えるかの二択。全員が動いたら賭けるか降りるかを決め、いちばん小さい手札に小早川の数字が足されたうえで、最大の人が場のメダルを総取りする。降りた人も勝者を予想して賭けられ、当てれば倍。負けた側も、予想を外した側も、出したメダルは戻らない。5ラウンド後、メダルの多い人が勝ち。
なお卓を割る目安は同じではありません。スマホは 9 人から、箱はその箱の上限からです (この記事の 2 つなら 6 人と 8 人)。そして割った先で必要になるものが違います。スマホは出す台数を増やすだけ (どれも無料です) ですが、箱は 2 卓なら 2 つ買うことになります。15 人の会で全卓に同じ箱を配ろうとすると、そこで急に予算の話になる——ここは箱がはっきり不利な点です。
終電まで 3 時間あるなら、選び直しの回数が効く
3 つ目の条件は時間です。うちのゲームは 6 人なら 1 本 10〜30 分、多くは 15 分前後です (8 人まで増えると 30〜50 分に伸びるものもあります)。13 本のうちラウンド数を減らせるのは 7 本で、残る 6 本は固定 — 面白さがラウンドの積み上げに乗っているぶん、短くする方向にしか調整できません。
これは欠点というより性質で、場面が変わるたびに選び直せるのは移動中や店では強みです。ただし腰を据えた卓では、その選び直しが 15 分おきに進行役の仕事として戻ってくる。6 人で 3 時間なら 10 回以上です。箱をひとつ出して 1 時間そこに居座るほうが、単純に手間が少ない。
とはいえ同じ箱を 3 時間続ければだれるのも本当なので、実際には箱 1 つ + スマホで切り替えるのがいちばん保ちます。片方が飽きたらもう片方に逃げられる、という意味では、この 2 つは競合していません。
逆に、スマホ 1 台が勝つのはどんな夜か
線引きの反対側も書いておきます。次の 3 つでは、箱を持っていく理由がありません。
- 卓が使えない席 — 立食、カウンター、座敷でも料理で埋まった卓。手渡しなら片手で回りますし、置く場所を空ける交渉も要りません
- 箱を持っていない日 — 二次会は行き先がその場で決まることが多く、持参していない箱は存在しないのと同じです。「家に何本かある」は、今夜の卓では 0 本と数えてください
- 人数が読めない日 — 何人になるか当日まで分からないなら、3〜8 人のどこでも始められるほうが安全です。箱は箱で人数の下限と上限があり、買ってから「今日は 3 人だから出せない」になることがあります (この記事で挙げた 2 つも 3〜6 人と 3〜8 人で、8 人を超えたら卓を割ることになります)
- 誰もルールを説明したくない日 — 箱は誰かが説明します。うちのゲームは説明画面が肩代わりするので、進行役の仕事は「今からこれやります」と言うことだけ。酔いが回った卓では、この差が思ったより効きます
この 3 つに当たるなら、実在しない料理をグルメ通ぶって語る知ったかグルメ (5〜15 分) あたりから。酒席で本人の話に流れにくいのは、お題が架空だからです。
知ったかグルメ紹介ページへ →食べたことないのに、うまそうに語れ。3〜8人6人で約15分スマホ1台数字クイズにこっそり答えて開票するけたちがい (約 10〜15 分) は、自由に文章を入力する場面がないぶん、上司が混ざる席でも失言の入口がありません。
けたちがい紹介ページへ →せいかいは、たぶんこのへん。3〜8人6人で約15分スマホ1台セリフに秘密のきもちを込めるきもちバレ (約 15 分) は、セリフが画面に出るので何を言うか考えなくて済みます。演技の出来ではなく、伝わった人数が点になる作りです。
きもちバレ紹介ページへ →その一言に、きもちを込めて。3〜8人6人で約30分スマホ1台まとめ: 卓・人の出入り・時間で決める
二次会と家飲みは、僕のサイトの形式がいちばん有利にならない場です。テーブルがあって、人が動いて、時間が長い——3 つそろったら箱のほうが素直で、逆に卓が使えない・持っていない・人数が読めないなら手渡しのほうが早い。同じ夜のうちに条件が変わることもあるので、両方あるのがいちばん強い、というのが正直な結論です。
一次会の段取りは幹事マニュアルに、卓の割り方は何人を 1 卓にするかに、デッキの選び分けはお題デッキの選び方大全にあります。
今夜が卓のある部屋なら、箱をひとつ。そうでないなら、スマホを 1 台どうぞ。