幹事の余興には 2 つの罠があります。ビンゴのように景品と道具の準備が要るか、一発芸のように誰かを指名する気まずさがあるかです。この記事は、そのどちらも避けて、スマホ 1 台だけで飲み会の余興を組み立てる方法をまとめたものです。想定しているのは会社やサークルの飲み会の幹事で、忘年会・新年会のような大きめの会にもそのまま使えます。ただし卓のある部屋に腰を据える二次会と家飲みだけは条件が変わるので、そこは別記事に分けました。

先に書いておくと、僕はスマホ 1 台をまわして遊ぶパーティーゲームのサイト「まわして」の作者で、例に挙げるゲームは全部そこのものです。そのぶん、それぞれのゲームがどういう仕組みで事故を防いでいるかまで書きます。

会全体の流れはこうなります。

  1. 乾杯直後料理待ちの15分に1ゲーム知ったかグルメ。会の空気を最初から「遊んでいい場」に
  2. 中盤話題が尽きたら差し込むきもちバレ or だれだっけ。1手番1分のテンポ
  3. 終盤盛り上がった流れでもう1周知ったかグルメは回が進むほど語りが大胆になる

乾杯後の 15 分に 1 ゲーム入れておく

余興というと会の中盤に構えがちですが、乾杯から料理が出そろうまでの 15 分が実は一番の狙い目です。全員が席にいて、手持ち無沙汰で、まだ話題が固まっていない。ここで 1 ゲーム入れると、会の空気が最初から「遊んでいい場」になります。

この枠に合うのは知ったかグルメです。「こたつのうたた寝プリン」のような実在しない料理を、全員が食べたことある風のうんちくでつなぐゲームで、1 ラウンド数分・3〜8 人。実在しない料理を語り合った直後に本物の料理が届く、という取り合わせが料理待ちの時間と噛み合います。

知ったかグルメのお題画面。架空の郷土料理「ミミズクと肩車の漬け物」が表示されている
実際のお題画面。この回は架空の郷土料理「ミミズクと肩車の漬け物」

お題はその場で毎回生成されるので、ネタの仕込みは要りません。回が進むほど語りが大胆になっていくゲームでもあるので、終盤にもう 1 周置くのも手です。

知ったかグルメ紹介ページへ →食べたことないのに、うまそうに語れ。3〜8人6人で約15分スマホ1台

詰まったらパスして次の人にまわせるので、まだ場が温まっていない時間帯でも回せます。

話題が尽きてきたらどう立て直すか

開始 1 時間あたり、話題が身内の近況報告に偏りはじめたら中だるみです。ここで差し込むゲームは、テンポが速くて、ルールを覚え直さなくていいものに限ります。

きもちバレは、「その皿と、目が合った気がする」のような決まったセリフを、こっそり指定された「きもち」を込めて演じ、全員でどのきもちだったかを当てるゲームです。演技は標準 15 秒、投票まで含めて 1 手番 1 分ほど。演技といっても声と身振りで足りるので、お酒が入っていない人でも成立します。手番以外の人も毎回「どのきもちか」を推理して投票する側に回るので、待っているだけの時間が構造的にありません

きもちバレの語り手の画面。セリフ「傘、持ってきたのに晴れたね」と、長押しできもちを確認する説明が表示されている
語り手の画面。セリフは全員に見え、込める「きもち」は長押しで本人だけが確認する
きもちバレ紹介ページへ →その一言に、きもちを込めて。3〜8人6人で約30分スマホ1台

もうひとつ、この時間帯に効くのがだれだっけです。前半で「宇宙人に紹介したい、地球でいちばんすごいものは?」のような質問に全員が順番に答え、後半で「あの人、なんて答えたっけ?」を記憶で当てる。1 ゲーム約 10 分で、前半の答えが変であるほど後半の答え合わせがネタになります。

だれだっけ紹介ページへ →あの人、なんて答えたっけ?3〜8人6人で約10分スマホ1台

8 人を超える宴会ではどう回す?

ここで紹介しているゲームはどれも 3〜8 人用です。9〜10 人なら、無理に 1 卓に詰めず 4〜5 人の 2 卓に割ってください。ゲームの上限より少し下 (4〜6 人) のほうが 1 周が速く、テンポが出ます。

16 人・20 人の宴会なら、テーブル単位に分けて、卓の数だけスマホで同時進行が基本です。進行とタイマーはゲームが持ってくれるので、幹事が全卓を仕切る必要はありません。卓ごとに違うゲームでも成立します。

全員でひとつの余興にまとめる形 (代表卓が遊んで残りは観客) は、貸切や個室で、全員が同じ進行を見聞きできる会場に限って使えます。にぎやかなフロア席では離れた卓に演技も語りも届かないので、素直に卓ごとの同時進行にするほうが確実です。

忘年会で上司が混ざる席は「デッキ」で選ぶ

飲み会のゲームで一番怖いのは、プライベートの暴露や説教に流れることです。選ぶ基準は、ゲームが話す内容をどこまで指定してくれるか。フリートークに委ねる部分が大きいほど、酒席では事故が起きます。ここは同じゲームでも、どのお題デッキを選ぶかで安全度が変わります。作者としてデッキ単位で書いておきます。

  • 知ったかグルメ・きもちバレは、どのデッキでもそのまま安全です。お題は実在しない料理、セリフは決まった文なので、本人の話に流れる入口がありません
  • くるしいわけは、役職差のある席なら「でんせつ」デッキを選んでください。竜退治のような架空世界のやらかしを、無関係な必須ワード (観覧車・ストロー・ぬいぐるみ) を織り込んで標準 20 秒で言い訳するゲームになります。「おうち」「ともだち」「バイトさき」のデッキは題材が身近なぶん、自分の実体験を混ぜて話しはじめる人が出やすいので、気心の知れた席向けです
  • だれだっけは、初対面の席なら「とつぜんですが」「みらいのはなし」を。「こどものころ」「マイルール」は本人の生活や過去を答えるお題なので、答えがそのまま自己開示になります。仲を深めたい少人数の会では逆にそこが持ち味になります

本人の話をさせたくない席ほど、架空の題材だけのデッキに寄せる。これが初対面や役職差のある席での一番の安全装置です。

くるしいわけ紹介ページへ →くるしいほど、笑える。3〜8人6人で約15分スマホ1台

もうひとつ、幹事が握っておきたいのが乗り気でない人の扱いです。上司が「そういうのはいいよ」と引いたときに全員参加を強行すると、そこから会全体が凍ります。人数はゲーム開始時に決める仕組みなので、乗り気な人だけで小さく始めて、面白がられてから 2 ゲーム目で誘うのが安全です。見ているだけでも開票やお題は聞こえるので、輪の外からツッコミ役で参加してもらう形でも成立します。

幹事が当日やることは 3 つだけ

道具なし余興の準備は、実質この 3 つで終わりです。

  • 自分のスマホを 1 台、卓に出すと決めておく。ゲーム中は手渡しで回すので、幹事の 1 台に固定するのが揉めません。全員にアプリを入れさせたり URL を配ったりする必要はありません
  • 回す前に通知を切っておく。おやすみモード・集中モードで十分です。上司の手の中で通知が光る事故は、ゲームの中身と関係ないところで一番気まずい
  • にぎやかな店なら、語り手にスマホごと渡す。お題を指差しながら話せば、聞き取れない問題がなくなります

ルール説明はゲーム内の説明画面がやってくれるので、幹事の仕事は「今からこれやります」と言うことだけ。会場の電波が不安なら、ゲーム画面を開いてから機内モードにしてください。一度読み込めば通信なしで最後まで遊べる作りなので、地下の宴会場でも途中で止まりません。

まとめ: 余興の準備は「何時に何を差し込むか」だけ

スマホ 1 台の余興なら、幹事の準備は景品でも道具でもなく、タイムラインのどこにゲームを差し込むかを決めることだけになります。乾杯後の 15 分に知ったかグルメ、話題が尽きたらきもちバレかだれだっけ、8 人を超えたら卓を割って同時進行、上司が混ざるなら架空の題材のデッキに寄せる。

卓が 3 つ 4 つになる規模の会は何人を 1 卓にするかに、デッキの選び分けはお題デッキの選び方大全に場面別の早見表があります。卓のある部屋に移ったあとの話は二次会・家飲みの線引きに分けました。

まずは次の飲み会の最初の 15 分で、1 ラウンドだけ試してみてください。