この記事は「話すのが苦手」を前提にしたパーティーゲームの選び方です。自分が苦手な側で、つらくないゲームにさりげなく誘導したい人にも、人見知りのメンバーがいる会の幹事にも使えます。無理に話を振るのも、気をつかってそっと外すのも、本人が望んでいるとは限りません。この記事はどちらもせず、ゲームの作り (無言で成立するか・一言でいいか・パスできるか) で解決します。

例に使うのは僕が作っているパーティーゲームサイト「まわして」のゲーム (無料・スマホ 1 台) で、作者なので「どの画面で声が要るか」を実装のとおり正確に書きます。

一言もしゃべらずに参加できるパーティーゲームはある?

あります。けたちがいは最後まで無言で成立し、せーのドンも、話す代わりに全員で同時に言う掛け声がひとつあるだけです。

せーのドンは、「キャンプの設営でやりたい担当は?」のような 4 択の質問に、自分の答えみんなの最多はどれかの予想の 2 つをタップで選ぶゲームです (1 ゲーム約 8〜10 分・4 ラウンド)。入力は端末を手渡しして 1 人ずつこっそり行い、全員ぶんそろったら、開票前に「せーの!」で全員が自分の答えを同時に声に出してから一斉開票します。

苦手な人にとっての要点は、「見られながら答える瞬間」がないことです。声を出す場面は「せーの」の一回だけで、全員が同時に言うので誰の声も単独では聞こえません——ひとりで注目される瞬間を作らないために選ばれた形式で、画面にも「小さい声でも大丈夫」と出ます。

開票で誰が何を選んだかは見えますが、「なんでそれ!?」に答える工程はルール上なく、「なんとなく」で流しても進行は止まりません。開票が静かでも、次のラウンドへ進めば場は持ちます。

得点は、最多予想を当てた人の +2 点と、全員の答えが一致したときの全員 +1 点だけ。自分が多数派に入っただけでは点にならないので、まわりに合わせるうまみは薄く、珍回答が損になりません。デッキを「ふしぎなちから」にすれば、答えが現実の自分の好みを晒すこともありません。

せーのドンの回答画面。「庭の手入れでやりたい担当は?」の4択に「自分の答え」と「みんなの最多はどれ?」の2つをタップで選ぶ
1 人ぶんの参加はこの画面のタップ 2 つだけ。声を出す場面はない
せーのドン紹介ページへ →みんなの答えを、当てにいく。3〜8人6人で約15分スマホ1台

けたちがいは、「卓球台の縦 (長さ) は何 cm?」のような数字クイズに、キーパッドでこっそり予想を入力するゲームです (1 ゲーム約 10〜15 分・4 ラウンド)。開票では誰の答えか伏せたまま数字が小さい順に並び、各自が「いちばん正解に近いと思う答え」に印をつけます。持ち主の名前が出るのは、全員が印をつけ終わったあとの正解発表です。答えはまず中身だけで見られてから人と結びつくので、笑いが向かうのはまず数字のほう。無言の 2 本で迷ったら、答えを採点されるのが嫌な相手にはけたちがいを先に

けたちがい紹介ページへ →せいかいは、たぶんこのへん。3〜8人6人で約15分スマホ1台

話すのが「一言だけ」でいいパーティーゲームは?

きもちバレ・めもりあわせ・だれだっけの 3 本です。ポイントは 2 つ——何を言うかを考えさせないことと、言った一言が採点の的にならないこと。

きもちバレは、画面に表示されたセリフを、秘密の「きもち」を込めて言うゲームです (1 ゲーム 5〜20 分)。語り手は全員に回ってきますが、セリフは画面に出ている固定文。考えるのは言い方だけで、「面白いことを言わなきゃ」の即興がゼロです。きもちを当てられても、笑われているのは自分の言葉ではなくお題のセリフ。ただし、決まった文でも人前で演じること自体が重いタイプには向きません。その場合は次のめもりあわせへ。

きもちバレ紹介ページへ →その一言に、きもちを込めて。3〜8人6人で約30分スマホ1台

めもりあわせは、ヒント役だけが「ひえひえ↔あつあつ」の目盛りの位置を見て、一言のヒントで残り全員がスライダーを合わせにいく協力ゲームです (1 ゲーム約 10〜15 分)。しゃべるのはラウンドに一言だけ。チーム戦なので、その一言に票がついたり採点されたりしません。目盛りの位置は乱数で決まるので、ヒントが自分の好みや価値観を晒す一言になることもない作りです。ヒント役は全員に 1 回ずつ回るため「ずっと聞き役のまま」にはなりませんが、一言に求められるのは面白さではなく伝わりやすさです。

めもりあわせ紹介ページへ →その「なんとなく」を、合わせにいく。3〜8人6人で約20分スマホ1台

だれだっけは、質問に全員が声で一言答え、あとで「あの人、なんて答えたっけ?」を思い出して当てるゲームです (1 ゲーム約 10 分)。声を出す場面はありますが、どれも一言。答えの面白さは得点に関係なく、点が入るのは「人の答えを正しく覚えていた人」だけです。静かに人の話を聞いているタイプほど強い、という逆転が起きます。デッキは「とつぜんですが」か「みらいのはなし」を。「こどものころ」「マイルール」は過去や生活のクセを答えるお題で、一言がそのまま自己開示になってしまいます。

トークで笑うゲームは「パスする」ボタンで選ぶ

語りが本体のゲームを、苦手な人がいるからと丸ごと外す必要はありません。知ったかリレーくるしいわけの語り画面には「パスする」ボタンがあり、押せばそのまま次の人に手番が渡ります。パスによる減点はありません (票が集まらないだけです)。正直に書くと、パスしたことは全員に分かるのでゼロコストではありません。ただ、何かを言わされるよりずっと軽い——というのが設計時の判断です。

知ったかリレーは、「逆さスイカ祭り」のような実在しないお題を、知ってる風に語りつなぐゲームです (1 ゲーム 5〜15 分)。持ち時間は初期設定 20 秒で、10 秒まで短くできます——話すのが苦手な人向けに「短くて気楽な一巡」を選べるよう用意した枠です。時間切れは自動で次へ回るので、注目される時間に必ず上限があります。早めに切り上げて渡すのも、詰まったらパスするのも自由。グルメ版の知ったかグルメ、言い訳に必須ワードを織り込むくるしいわけ (1 ゲーム 5〜30 分) も同じパスつきです。パスが続きそうな顔ぶれなら、票で個人に差がつくトーク系ではなく、チーム戦のめもりあわせに寄せてください。

知ったかリレーの語り画面。お題「忍者の上にもリモコン」の下に「語りおわった」と「パスする」のボタンが並ぶ
語り画面には「語りおわった」と並んで常に「パスする」がある。押しても減点はない

3 人の少人数と 10 人の大人数で、選び方はどう変わる?

紹介したゲームは 1 卓 3〜8 人で遊べます。

3〜4 人では、1 人の番がすぐ回ってきて、パスしたときの「間」も目立ちやすくなります。少人数のときほど、声がほぼ要らないせーのドン・けたちがいの 2 本を軸にするのが安全です。

6〜8 人では、1 人の番はぐっと減ります。めもりあわせは人数ぶんラウンドがあるので、8 人ならヒント役は 8 回に 1 回。トーク系も、パスが 1 回入ったくらいでは進行は途切れません。人数が多い会ほど、一言ゲームやパスつきトーク系まで広げやすくなります。

8 人を超えたら、4〜6 人ずつの卓に分けて、卓の数だけスマホを使ってください (10 人なら 5 人 × 2 卓)。10 人の輪より 5 人の卓のほうが浴びる視線は少ない——卓を分けること自体が、いちばん効く配慮です。

時間の目安もひとつ。30 分の枠ならせーのドン (約 8〜10 分) + けたちがい (約 10〜15 分) の無言 2 本がちょうど収まります。1 本で切り上げても成立します。

「話すのが苦手」の中身は 3 つある——即興・注目・評価

最後に、選び方の裏側です。「話すのが苦手」のつらさの正体は人によって違い、ゲームの作りに引きつけると 3 つに分けられます。

  • 即興がつらい——その場で気の利いたことを考えるのが苦手。→ セリフが固定のきもちバレ、そもそも考えた言葉を出さなくていいせーのドン・けたちがい
  • 注目がつらい——自分の番に全員がこっちを見る時間が苦手。→ 手渡しのこっそり入力で「見られながらの番」自体がないせーのドン・けたちがい
  • 評価がつらい——自分の発言が投票や採点の的になるのが苦手。→ チーム戦で個人が採点されないめもりあわせ、印がつくまで持ち主を伏せるけたちがい

ひとつ注意があります。はぐれワードは「必ず話すのはヒントの一言だけ」で一見この記事向きですが、その一言は全員の推理の的になり、あとに自由な話し合いの時間もあります。注目と評価の両方が乗るので、苦手のタイプによってはいちばんつらいゲームになりえます。選ぶなら場が温まってから。

どのタイプかを本人に聞くのはおすすめしません。その質問自体が注目を集める瞬間になるからです。代わりに最初の 1 本の様子で読む——無言の 2 本から始めて、開票の雑談に乗ってくるなら一言ゲームへ、乗ってこなければ無言系のまま。これでまず外しにくくなります。

自分が苦手な側なら、「話すの苦手だからこれにしよう」と言う必要はありません。「スマホ 1 台でできるやつ見つけた」「1 ゲーム 10 分かからないらしい」——仕様だけで提案が通る言い方で十分です。

まとめ: 無理に振らず、ゲームの作りに任せる

話すのが苦手な人がいる場のゲーム選びは、「無言で成立する」→「一言だけでいい」→「パスで逃げられる」の 3 段階で考えると迷いません。まずタップだけのせーのドンかけたちがいで全員を同じ土俵に乗せて、様子を見ながら一言ゲームへ。トークで笑いたくなったら、持ち時間を 10 秒に絞った知ったかリレーを。無理に話を振らなくても、参加の形はゲームの数だけあります。教室なら学級レクの組み立て方、初対面の会ならアイスブレイクの選び方にシーン特化の進行例があります。次の集まりでは、まず無言の 1 本から試してみてください。