えでんごんは、絵と言葉を交互にリレーして、最後にどこまでねじれたかをみんなで見る伝言ゲームです (僕が作っています。無料・1 卓 3〜8 人・登録なし)。先に、絵が苦手な人がいちばん知りたいことを書いておきます——このゲームで点になるのは、絵のうまさではありません。隣の人があなたの絵を言葉にできたかどうか、それだけです。

  1. せんとうお題を見て描くお題を見るのは最初のひとりだけ。制限時間 (30・45・60 秒から選択) 内に線だけで描く
  2. つぎのひと前の人の絵だけを見て言葉を書くお題も、前の人が書いた言葉も見えない。ひらがな・カタカナで 12 文字まで
  3. そのまま自分が書いた言葉を、自分で描く書く手番と描く手番が同じ。描き終えたら伏せて次の人へ
  4. たねあかしお題から順に変遷を見る伝わったつなぎ目は、描いた人と当てた人に 1 点ずつ

何分かかる? 絵が苦手な人がいても大丈夫?

6 人・お題 2 個で約 10 分。1 枚あたりの持ち時間は 30・45・60 秒から選べて、既定は 45 秒です。

この 45 秒は「絵を完成させるには少し足りない」ように選んであります。60 秒にすると描いている 1 人以外が待つ時間が長くて退屈になり、30 秒だとうまい人ほど描き込めずに焦る。45 秒だと間に合わなかった絵がほどよく生まれて、それがそのままねじれの種になる——つまり、描き切れないことは事故ではなく仕込みです。初めての卓でも既定のままで大丈夫で、伸ばすとしても、待ち時間が伸びることとの引き換えだと知って選んでください。

絵が苦手でも成立するのは、得点がつなぎ目で決まるからです。あなたの絵から隣の人が正しい言葉を出せれば、描いたあなたと当てた隣の人に 1 点ずつ。棒人間でも丸と線でも、伝わればまったく同じ点です。逆にうまい絵でも、隣が別の言葉に読んだら点は入りません。評価しているのは画力ではなく通じたかどうか、と最初に卓へ宣言しておくと、絵が苦手な人が構えずに済みます。

もうひとつ、このゲームの手番は「書く」と「描く」がセットになっています。前の人の絵を見て言葉を書いたら、そのまま自分でその言葉を描いて次へ。分業ではないので、下手な絵を出すのが自分だけ、という状況が起きません。お題を 2 個以上にすると先頭が入れ替わるので、全員が描く側と読む側の両方を経験します (お題 1 個だと、先頭の人は描くだけ・最後の人は書くだけになります。既定の 2 個のままがおすすめです)。

えでんごん紹介ページへ →絵で渡して、言葉で返す。3〜8人6人で約10分スマホ1台

「笑われる」のは避けられるのか

正直に書きます。避けられません。むしろ下手な絵は笑われます——ただし、笑いが起きるのは絵そのものではなく、種明かしで見える落差のほうです。「寝ぐせ」が 3 手先で「あめ」になっている、その道筋を全員でたどるときに笑いが起きる。うまい人の絵が正確に伝わり続けた回は、実は静かです。

そして落差を作っているのは描いた人ひとりではありません。読み違えた人と、その言葉をまた描いた人と、全員の合作です。伝言ゲームの笑いが個人攻撃になりにくいのはこの構造のおかげで、結果画面の称号にも絵の巧拙を評価する言葉は 1 つも置いていません (詳しくは後述します)。

45 秒で描き切れないのも設計どおりなので、間に合わなかった絵を出すことは失敗ではない——これだけ先に知っておくと、1 枚目の緊張がかなり減ります。

45 秒で何を描く? 伝わる線の作り方

制限時間の中で優先すべき順番があります。

  1. 1いちばん特徴的な 1 点を決めるお題を絵にする前に「この言葉といえば、この形」を 1 つ選ぶ。あくびなら大きく開いた口
  2. 2それを画面の真ん中に大きく描く細部より大きさ。サムネイルで縮んでも残るのは輪郭だけ
  3. 3時間が余ったら状況を 1 つだけ足す足すのは 1 つまで。要素が増えるほど、隣の人はどれが主役か分からなくなる

「特徴を 1 点」と言われても困る、という人向けに、絵が苦手でも使える引き算の型を 3 つ置いておきます。

  • 人は棒人間でいい。変えるのは体の角度だけ——「つかれた」なら棒人間の背中を丸める、「はしる」なら前に傾ける。顔も服も描かなくて通じます
  • 顔は輪郭を描かず、パーツだけ——「あくび」なら大きい口ひとつ、「なみだ」なら目と雫ひとつ。輪郭を描くと中身を描き込みたくなるので、最初から省くほうが速い
  • 音や勢いは、線の向きで出す——「くしゃみ」なら口から前へ放射状の線を数本。オノマトペを字で書くのは反則ですが、線の向きは反則ではありません

文字や矢印で説明するのは反則です (ルール画面にも書いてあります)。「あくび」と書いてしまえば必ず伝わりますが、それはこのゲームではありません。

いちばん多い失敗は、説明しようとして要素を増やすこと。人物 + 背景 + 効果線と描き込むほど、隣の人は「何を答えればいいのか」で迷います。主役 1 つ + 状況 1 つまでに抑えたほうが通ります。

言葉を書く側は、何を書けばいい?

答えはひらがな・カタカナで 12 文字まで。この制限は嫌がらせではなく、つなぎ目の判定がプレイヤーの自由入力どうしの比較になるからです。漢字を許すと「渋滞」と「じゅうたい」が機械には別物になり、合っているのに × になります。かなに寄せることで、表記ゆれで損をしないようにしてあります。

書くときのコツは 2 つ。見えたものをそのまま書く——「なんとなくこう描きたかったんだろうな」と忖度して補正すると、かえって外れます。前の人が下手なら、下手な絵から見えたとおりに書くのが正解です。もうひとつ、迷ったら短い語を選ぶ。「かみなり」と「かみなりのようなもの」なら前者。次にそれを描くのは自分なので、描きやすい言葉を選ぶと自分の手番が楽になります。

ねじれても大丈夫な理由

伝言ゲームの怖いところは「1 か所ずれたら後が全部台無し」ですが、このゲームはそうなりません。得点の判定が隣どうしで閉じているからです。

お題が「寝ぐせ」で、2 人目が「かみなり」と読み違えたとします。ここは × ですが、3 人目が「かみなり」の絵から「かみなり」と読めれば、そこは ○ で 2 人に 1 点ずつ入ります

  1. お題寝ぐせ1 人目が、頭から毛が 1 本ピンと跳ねた顔を描く
  2. × かみなり2 人目は絵だけを見て「頭からギザギザが出てる」→ ここは不一致。誰にも点は入らない
  3. かみなり2 人目が描いた雲とギザギザを、3 人目が「かみなり」と読む。ここは一致なので 2 人に 1 点ずつ
  4. あめ雲から線が出ている絵を 4 人目が「あめ」と読む。上流がずれていても、隣どうしが合えば点は入り続ける

上流のねじれが下流の得点機会を消さない——だから途中で盛大に間違えても、そこから先は普通に戦えます。

判定で揉めそうなときの逃げ道もあります。「意味は合っているのに表記が違う」ようなつなぎ目は、全員の合意でタップして ○ にできます。機械の判定は出発点で、最終決定は卓のものです。

種明かしがこのゲームの本体

得点の話をしてきましたが、正直なところこのゲームの山場は点ではありません。種明かしで、お題から順に絵と言葉の変遷を 1 つずつ送っていく時間です。「寝ぐせ」が「かみなり」になり「あめ」になり、最後に誰も知らない言葉で終わる——その落差を全員で確認する数十秒のために遊んでいる、と言っていいくらいです。

だから進行役は、種明かしを急がないでください。1 枚ずつ送って、そのたびに「どこで曲がったか」をみんなで見つける時間を取る。全部つながった回は「完全伝言」として表示されますが、正直それより、盛大にねじれた回のほうが盛り上がります。

先に触れた称号も同じ考え方です。付くのは「伝わる絵の主」(自分の絵から次の人が同じ言葉を書けた回数が最多)、「読み取りの名人」(前の人の絵を言い当てた回数が最多)、そして「伝言の担い手」の 3 つ。称えているのは伝わったことと読み取れたことだけで、絵のうまさ下手さを指す語は結果画面に一切残りません。

どのデッキから始める?

4 種類あり、いずれも絵にしにくい状況の言葉が軸です (「りんご」のような一発で描ける名詞ばかりだと、ねじれが起きずゲームになりません)。

デッキ中身向く卓
からだのふしぎ中身あくび・しゃっくり・くしゃみなど、体に起きる現象やクセ向く卓誰にでも身に覚えがある。初めての集まりの 1 本目
学校のできごと中身授業・当番・行事の学校あるある向く卓クラスや部活。いちばん沸くデッキ
きもちとようす中身気分が仕草に出た様子向く卓表情と身振りだけで伝えるので、絵が苦手でも戦える
まちのようす中身街や店で見かける光景向く卓世代が混ざった集まりでも通じる

「きもちとようす」が絵の苦手な人に向くのは少し意外かもしれませんが、もともと形のないものを描くので、全員が同じスタートラインに立てるからです。写実的に描く技術が効かない分野を選ぶ、というのがこのゲームでの平等の作り方です。

まとめ: 通じればいい、ねじれても戻れる

うまい絵ではなく、隣が言葉にできる絵を描く。特徴 1 点を大きく、要素は足しても 1 つまで。言葉は見えたとおりに、短く、次に自分が描きやすいものを。そして途中でねじれても、隣どうしで閉じた判定のおかげで後半は普通に点が入る——えでんごんのコツはこれだけです。

ほかのゲームのコツはせーのドンの多数派の読み方かぶりけしのヒント術にもあります。

次の卓では、うまく描こうとするのをやめてみてください。