きもちバレは、「その皿と、目が合った気がする」のようななんてことないセリフに、語り手だけが知っている秘密の「きもち」を込めて言い、聞いていた全員がどのきもちだったかを当てるゲームです (僕が作っています。無料・1 卓 3〜8 人・登録なし)。
演技ゲームと聞いて身構えた人に、コツより先に事実をひとつ。このゲーム、時間の大半は座って聞いています。全員が 1 回ずつ語り手をやって 1 ラウンド。ラウンド数は 1〜3 から選べて、既定は 3 なので、5 人卓をそのまま始めると自分の番は 3 回、人の番は 12 回です。演技の持ち時間は 1 回 15 秒。長そうなら 1 ラウンドでも成立します——看板は演技ゲームですが、実態としては当てるゲームをときどき中断して 15 秒だけ演じる遊びです。
- 1きもちを確認する語り手だけがスマホを長押しして、8 つのうちどのきもちかを見る。セリフのほうは全員に見えている
- 2きもちを込めて言う既定 15 秒 (10・20 秒も選べる)。時間内なら何度言い直してもいい
- 3ひとりずつ秘密投票スマホをまわして、聞いていた全員が 8 つの選択肢から選ぶ。人の票は見えない
- ※語る順番はくじ引きラウンドごとに引き直すので、座り順では回らない。「次は自分」と身構える時間がない代わりに、前ラウンドで最後だった人は続けて最後になりません
伝わらなくても、失うものはない
先に、いちばん気になるところを片づけます。結果画面に得点の数字は出ません。出るのは順位と称号だけで、いちばん点が多かった人が「きもち名優」、いちばん少なかった人が「ポーカーフェイス」、間は全員「名演ぞろい」。同点なら何人にでも付くので、下位が団子になってポーカーフェイスが 2〜3 人並ぶこともよくあります。伝わらなかった = 顔に出ない、という読み替えで、下手だったと書く言葉はどこにも出ません。結果画面はその場で読み上げられるので、そこに値踏みの語を置かないのは全ゲーム共通の方針です。
手番ごとの開票も同じです。誰にも伝わらなかったときは「だれにも伝わらなかった…!」に続けて、名前入りで「みごとなポーカーフェイス (点は入らないけど、場は盛り上がったはず)」と出ます。外されたときのほうが場は沸きます。
そもそも外れは普通に起きます。8 択で、しかも後で書くとおり紛らわしいきもちが並んでいるので、うまい人が演じても票は割れる。「外された = 下手だった」ではありません。そのとき笑われているのが何かも、はっきりしています。セリフは画面に表示された既定の文で、自分で考えたものではありません。笑われているのはお題のセリフのほうで、あなたの言葉ではない——この作りは、うまく言えなかった人を守るために入れてあります。
きもちバレ紹介ページへ →その一言に、きもちを込めて。3〜8人6人で約30分スマホ1台点が入るのは「伝わった人数」
そのうえで、得点はこうなっています。当てた人に 1 点、そして語り手には、当てた人数ぶんの点。7 人に伝われば語り手に 7 点入ります。
つまり語り手と当てる側の利害が完全に一致しています。うまく隠しても語り手の点は 0 のまま増えません。さっきの「点は入らないけど」という画面の文言は、そのまま得点式の説明にもなっています。
だから、隠す努力にリターンはありません。迷ったときは 1 段大きくやったほうが点になります。逆に、伝わらなかったときに減るものは何もない。増えないだけです。
演技が苦手だと、やっぱり不利?
半分は不利です。残り半分は演技力と関係ありません——ここは正直に書きます。
1 ラウンドで、語り手として取れる点の上限は「人数 − 1」。5 人卓なら 4 点です。いっぽう当てる側として回ってくる手番も「人数 − 1」回あり、全部当てればこちらも 4 点。上限がぴったり同じなので、得点源はきれいに半々です。
もちろん語り手の半分では、伝わる人ほど点が入ります。言えるのは効く範囲が半分で止まるということで、残りの半分を決めているのは演技力ではなく、人の演技をどれだけ集中して見ていたか。しかもその半分は、全員が同じ回数だけ挑戦できます。
外れ方は、だいたい「方向は合っているが、隣」
選択肢は 8 つ。ここにデッキを作ったときの事情が出ています。4 つのデッキすべてで、前半 4 つは同じなんです——うれしい・わくわく・得意げ・ほっとした (並び順だけ違います)。変わるのは後半 4 つだけ。デッキを変えても、迷いどころの半分は変わりません。
- 待ち合わせおこってる・さみしい・気まずい・ねむい既定のデッキ。集合と再会の場面
- 食卓くやしい・あせってる・うたがってる・ねむいごはんの席。給食でも飲み会でも
- お店あせってる・うたがってる・がっかり・つかれてるレジや売り場。接客あるある
- 返事めんどくさい・気まずい・こわい・おこってる呼びかけへの返事。セリフが短くて速い
そして、いちばんよく起きる外れ方は方向は合っているのに隣を取られるやつです。紹介ページのプレイ例がまさにそれで、「うたがってる」を演じたら「あせってる」と読まれています——どちらも食卓デッキの後半にいるきもちです。前半でも同じで、うれしい・わくわく・得意げ はどれも上向きなので、割れるときは大抵この中。紛らわしいペアは、明るい側にも暗い側にもいます。
ここで大事なのは、語り手はきもちを選べないことです。8 つ (直前と同じものを除いた 7 つ) から抽選で割り当てられます。できるのは寄せる先を選ぶことではなく、割り当てられたきもちを隣とどう区別するかだけ。そのためには隣が何かを知っておく必要がありますが、この一覧はデッキ選択画面には出ません (出るのはデッキ名と場面の説明だけ)。遊ぶ前にここで見ておくと得です。
語り手が使っていい手は、仕様に書いてある
演技の技術は人それぞれですが、ルールとして許されている手は決まっていて、しかもだいたい使われていません。
- 1言い直していい制限時間内なら何度でも。「1 回言って終わり」でも成立するが、余った時間で言い直すのも想定内
- 2秒数もラウンド数も選べる演技の持ち時間は 10・15・20 秒、ラウンド数は 1〜3。短いほうが気楽なら 10 秒 × 1 ラウンドでいい
- 3きもちは何度でも見られる長押しは 1 回きりではない。始める前なら、確認し直してから「スタート」を押していい
2 つめは進行役が最初に決められます。8 人 × 3 ラウンドだと 24 手番になるので、初めての卓は 1 ラウンドから、苦しければ 10 秒に落とすのが快適です。
そして 1 つめ。画面には「言い切った!」ボタンがあって、押すと残り時間を捨てて投票へ進みます。ここをすぐ押さないのが、いちばん簡単な上達です。押さなくても時間切れで勝手に投票へ進むので、粘ることに損はありません。1 回言ってボタンに手が伸びたら、代わりに間を変えてもう一度言う。残り 5 秒から音が鳴り、タイマーが赤くなって点滅するので (音を切っていても色で分かります)、それが「あと 1 回言える」の合図です。
もうひとつ、進行のこと。演技を始めたら、スマホは真ん中に置くのが楽です (画面にもそう出ます)。持ったままだと片手がふさがるし、画面のセリフを読み上げる姿勢になってしまう。置いてしまえば手が空きます。
当てる側は、2 つのことを諦めるところから
推理の前に、手に入らない情報を確認しておきます。
ひとつ、セリフからは何も読めません。抽選のとき、セリフときもちは別々に引かれています。両者に関連付けがないので、いくら読み込んでも答えの情報は出てきません。セリフのほうも「どのきもちを込めても成立する」ことを条件に選んであります——制作の途中で組み合わせによる自動生成を試して失敗していて、その失敗が「組み合わせによっては、きもちが自動的に決まってしまう」でした。
ふたつ、人の票は見えません。投票はひとりずつこっそり選ぶ形で、しかも開票画面が出すのは当てた人の名前だけ。外した人が何に入れたかはそのあとも分かりません。「あの人はいつも うれしい に入れる」という読みは、何ラウンド遊んでも育ちません。
残るのは演技そのものだけ。それが正しい遊び方です。
そのうえで小ネタをひとつ。直前の手番と同じきもちは出ません。抽選で直前のきもちを候補から外しているからで、ラウンドをまたいでも続きます。正解は開票で全員が見ているので、2 手番目からは8 択が実質 7 択。ただし消去法を減らすために入れた仕組みなので、材料にされるのは意図とは逆です。迷ったとき最後に思い出すくらいがちょうどいい話として。
白状すると、この節を書くために抽選のコードを読み直して、バグを見つけました。「直前と同じきもちを引いたら 1 つ隣にずらす」実装だったせいで、隣の 1 つだけが 2 倍出やすかった(8 択なら 25%、ほかは 12.5%)。知っていれば有利になる偏りなので、記事に書く前に、残り 7 つから均等に引き直す形へ直しました。
デッキはどれを選べばいい?
前半 4 つが共通である以上、選ぶ基準は後半 4 つとセリフの舞台だけです。初対面の卓なら待ち合わせ (何も触らなければこれで始まります)、テンポ重視なら返事、ごはんの席でそのまま始めるなら食卓。
学校で使うなら、おこってる・こわいが入るデッキだけ少し注意が要ります (返事に両方、待ち合わせに おこってる)。誰かに向けて演じる形になりやすいので、相手は空想の人にすると決めてから始めてください。気になるなら、怒りも恐怖も入らない食卓かお店から。
まとめ: 隠す理由が、仕様としてない
語り手の点は伝わった人数ぶんなので、隠しても増えません。伝えにいって、時間が余ったら言い直す。当てる側はセリフからも人の票からも情報を取れないので、演技そのものだけを見る。演技の上手さが効くのは得点源の半分までで、残り半分は聞いていたかどうかで決まります。そして伝わらなくても、結果画面に数字は出ませんし、最下位に付く名前は「ポーカーフェイス」です。
そのうえで、人前でひとりで声を出すこと自体がきついなら、このゲームは無理に使わなくて大丈夫です。
そういう卓向けの選び方は話すのが苦手な人と遊ぶゲームの選び方に、ほかのゲームのコツはだれだっけの覚え方にあります。結果画面に値踏みの語を置かない方針そのものは称号設計の記事に書きました。
次の卓では、自分の番より人の番に集中してみてください。得点源の半分はそっちにあります。